ホテルオフィスが登場、都市部のホテル市場を再活性化
コリアーズ・インターナショナルは、オンラインイベント「ハイブリッド・ホスピタリティ」でヨーロッパの観光業界の動向を分析し、オフィススペースとしてホテルを使用することで、そのニッチ商品に特化したホテル事業者の収益を最大20%増加させる可能性があると指摘しました。
これらの事業者の中には、ホテルが技術インフラを活用して会議やオフィススペースや,
追加の収益を生み出す可能性のあるサービスを提供し、テレワークの需要の高さをすでに意識しています。 「ハイブリッドホテル」のコンセプトを開拓してきたZoku、アコー、エースホテル、シチズン、カーテンホスピタリティなどの企業は、ワークスペースと寝泊まりできるスペースの組み合わせにブランドの戦略を当てはめ、近年大きな成功を収めています。コリアーズによると、多くの都市ホテルは、パンデミックの結果として観光産業が置かれた世界的な危機に直面し、所得を生む代替措置として、短期的にこの2つの用途の組み合わせを推進していくことになるでしょう。
フレキシブルな仕事およびコワーキングのスペースを提供する企業は、日単位で貸し出す可能性を示唆していますが、彼らのビジネスモデルは、週単位または長期間貸し出すことで収益性が上がります。時間割りまたは日割りでオフィスを借りたいという「ハイブリッドホテル」の需要は確かに高まっており、現在は非常に限られた供給しかありませんが、今後テレワークを大規模に実施するであろう多くの企業に対応していくことになるでしょう。
素晴らしい機会
コリアーズ・インターナショナルのEMEA(ヨーロッパ、中東及びアフリカ)地域のホテルディレクター、ダーク・バッカー氏は、「ホテルは伝統的なサービスを提供するだけでなく、出会い、協力、社交、仕事をするスペースも提供し、一度に2つの異なる方法で使用して収益化し、ホテル内のパフォーマンスの低い部門を最適化することができます。」と述べています。「このコンセプトは、従来のオフィス市場の傾向を不確実なものと捉えている機関投資家を引き付けるだけでなく、将来に向けてホテルサービスを提供していく新しい方法になる可能性があります」と彼は説明します。
「しかし、ヨーロッパの様々な都市で、ホテル業界とフレキシブルな仕事のモデルの間に大きな違いがあることに注目するのも大事です。例えば、オランダでは、パンデミック前に自宅で働いていた人の割合は約14%で、一方ドイツでは5%に過ぎませんでした。もちろん、コロナ危機はフレキシブルオフィスの傾向を加速させましたが、文化の違いは未だに残っています。これはホテル運営者自身の描くビジョンにも見られますが、アムステルダムのヒルトンホテルはすでに「ハイブリッドホテル」マリオットのコンセプトを推進しており、伝統的なビジネスモデルを都市の中で維持し続けています。」とバッカー氏は結論付けています。
「ハイブリッドホテル」モデル ホテル市場におけるこの革新的なコンセプトは、ホテルとフレキシブルオフィスのサービスを同時に組み合わせたもので、ホテル側の調整が必要な場合があります。コリアーズによると、施設が「ハイブリッドホテル」として必要な条件は次の通りです。 ・優れたインフラとテクノロジー設備 ・ホテルの部屋や家具を迅速にオフィスに変換させたり、元に戻したりできる柔軟性 ・共同作業に適した施設 : 会議室、共用エリア、コワーキング対応エリア ・小規模なイベントに適した飲食用設備 コリアーズ・スペインのホテルのマネージングディレクター、ミゲル・バスケス氏は「観光産業に特化した、刺激的でダイナミックな環境の中で、用途に応じた質の高いサービスでワークスペースをレンタルするために、毎日あるいは時間単位でその柔軟性を提供できるかどうかが問題です。」と述べています。「オペレーターの視点から見ると、収益を上げる可能性は大きいと言えます。ホテルの伝統的な活動を補完する、これまで探求されていない新しいニッチな需要を選ぶことに加えて、当ホテルチェーンは新しい顧客を呼び込む大きな可能性を生み出すことができます。」と、バスケス氏は結論付けます。 利点 「ハイブリッドホテル」は、長期の賃貸義務やオフィススペースへの多額の投資なしで、従業員に対してフレキシブルなワークスペースという補完オプションを提供します。このアドホック空間が柔軟に使用されうる限り、在宅ワークを補完しながら、多くの企業のコストを削減することができます。 コリアーズのオフィスのアソシエイトディレクターであるアントニオ・アンドレウ氏は、「多くの企業が従来のオフィススペースへの労働者の出席を優先し続けようとも、一方で他の企業はテレワークと対面ワークとを交代させる可能性を持っています。ホテル業界は非常に効率的にそれを解決に導くことができます。」と述べています。 まとめ
コロナ危機で下火になっている観光産業の中で、ホテル業界が新たなビジネスモデルを展開しています。テレワークの需要に伴い、ホテルの一室をワーキングスペースに変え、企業の負担を軽くするという斬新なアイデアは、多様な文化を持つヨーロッパでどのように受け入れられていくのでしょうか。